台本なしでも着手可能。問い合わせの減少につながったメンテナンス動画の制作
支援先の産業用機器メーカーは、既存顧客向けに自社製品の分解・清掃方法をホームページで公開していました。しかし、静止画では詳細を伝えきれず、「自分で分解して壊さないか不安」といった問い合わせが繰り返し発生する状況でした。
そこで同社は、メンテナンス動画の制作を決めました。対応した機械系エンジニアは、この動画の企画から公開までを一括で担当しています。動画の公開後は、分解・清掃の問い合わせが減少しました。問い合わせがあった場合でも、動画の案内だけで対応が完了するケースが増え、担当者が個別に説明する負担を減らせました。
1. 支援先企業の概要
支援先は、産業用機器の製造を手がけるメーカーです。
| 項目 | 内容 |
| 業種 | 製造業(産業用機器メーカー) |
| 主な製品 | 液体を扱う産業用装置 |
| 販売形態 | BtoB |
| 課題領域 | メンテナンス案内・問い合わせ対応 |
同社の製品は、ミキサーカートリッジやワンタッチカプラ、接続チューブといった部品を、顧客自身が分解・清掃できるように設計された装置です。既存の公開情報のみでは顧客の不安を取り除ききれず、より詳細な情報提供の手段としてメンテナンス動画が必要でした。
2. 支援前の状況と課題
動画の制作に至る背景には、静止画による案内の限界と、問い合わせ対応の負担がありました。
静止画では作業の動きを伝えきれない
同社は以前から、ホームページに掲載された写真と文章でミキサーカートリッジの分解・清掃方法を案内していました。しかし、静止画では、細かな手の動きや部品の着脱方法を伝えきれませんでした。
分解に不安を持つ問い合わせが続いた
同社には、「自分で分解して壊してしまわないか」、「分解後、元通りに戻せるかわからない」といった問い合わせが繰り返し寄せられていました。
実際に、この分解・清掃は、部品の扱いに注意を要する作業です。たとえば部品の中には、反対向きでも途中まで組み付けられてしまうものがあります。また、ワンタッチカプラは繰り返しの使用で劣化する消耗部品です。劣化の状態によっては、使用中にカプラが外れ、液体が漏れるおそれもあります。
そのため、分解・清掃を行う際は、正しい向きと部品の状態の確認が欠かせません。
同じ説明の対応に時間が取られていた
同社では、分解・清掃方法の問い合わせ対応に時間が取られていました。問い合わせが入るたび、担当者は電話で同じ説明を繰り返す必要があったためです。
そこで、作業の動きと注意点を一度に伝えられるメンテナンス動画を制作することになりました。個別に説明を繰り返す負担を減らすことが、制作の狙いです。
3. 実施したメンテナンス動画制作支援
繰り返しの個別説明を動画に置き換えるため、機械系エンジニアは企画・構成から公開までの工程を順番に進めました。
①:実演をもとにした動画構成の作成
同エンジニアは撮影前に、実際の作業者から分解・清掃・再組立手順の説明を受けました。その場で作業内容を確認しながら、初めて製品を見るユーザーが迷いそうな手順を質問し、動画構成を固めています。この構成をもとにした台本も、同エンジニアが作成しました。
動画構成の材料となったのは、ホームページで公開済みのメンテナンス情報と、現場での説明・ヒアリング内容のみです。現場経験にもとづく的確な質問で必要な情報を集められたため、詳細な台本が事前に準備されていなくても対応できました。
②:作業者による実演の撮影
台本の完成後、同エンジニアは撮影の準備と機材の手配を整えました。そのうえで、作業者による分解・清掃・再組立の実演を収録しています。
③:テロップとナレーションを加えた編集
撮影後は、収録した映像の編集に移りました。テロップとナレーションを加え、動画として仕上げています。
④:完成動画のWeb公開
完成した動画は、YouTubeでの一般公開と製品ホームページへの掲載まで、同エンジニアが対応しました。加えて、元データをMP4形式で納品しています。部品の取り外しから再組立までの一連の手順は、約6分の映像で通して確認できます。
以上の①から④までの工程を、機械系エンジニアが一括して担当しました。制作費は5万円から、納期は修正対応を含めて約2週間が目安です。
4. メンテナンス動画の制作を進めるうえで工夫したこと
今回の撮影対象は、細かな手の動きと小さな部品です。ただ収録するだけでは向きや動きが伝わらないため、同エンジニアは初めて作業する人の視点で見せ方を工夫しました。
手元を大きく映す固定撮影
撮影は、カメラを固定し、アップ映像を中心に進めました。作業者の手元と小さな部品を見やすく映すためです。手や工具の影によって部品が隠れないように、照明の当て方を細かく調整しています。
再組立の順番が分かる部品配置
取り外した部品は、単に机へ置くのではなく、再組み立てするときの順番と向きが分かるように配置してもらいました。分解の場面がそのまま、組み立ての手引きになる形です。
さらに編集では、部品名称をテロップで表示しています。組み付け方向が分かりにくい部品は、静止画や拡大映像を加え、作業映像の隣に拡大図を並べて表示しました。
視聴者の作業に合わせた進行ペース
視聴者が動画を見ながら作業することを想定し、時間配分を調整しました。重要な場面では一時停止やスロー再生を挟み、作業内容を確認できる時間を確保しています。
疑問に感じやすい点の掘り下げ
ナレーションでは、慣れた人にとっては当たり前でも、初めての人が疑問に感じやすい点を掘り下げて説明しました。たとえば、Oリングを有機溶剤に浸してはいけない理由や、ワンタッチカプラが消耗品であることです。
こうした背景まで分かれば、視聴者は不安なく作業を進められます。
5. 成果と変化
公開後の変化は、問い合わせ対応、顧客のメンテナンスへの取り組み、新規顧客への提案の場に表れています。
分解・清掃の問い合わせが減少した
動画の公開後、分解・清掃方法に関する問い合わせは減少しました。質問があった場合も、動画を案内するだけで対応が完了するケースが増えています。その結果、担当者が電話で同じ説明を繰り返す負担は軽くなりました。
問い合わせ内容の特定が容易になった
顧客から質問を受けた際、その内容の特定が容易になりました。「動画の何分何秒で説明されている作業に関して」と、再生時間を添えた質問が顧客から届くためです。その結果、どの作業への質問かが正確に伝わり、技術担当者は回答しやすくなっています。
顧客自身によるメンテナンスが進んだ
動画の公開は、顧客が積極的にメンテナンスへ取り組むきっかけになりました。背景には、「動画は写真と文章だけの説明より理解しやすい」という既存顧客の声があります。
当初、「自分で分解して壊さないか不安」と問い合わせを寄せていた顧客側に、自分で分解・清掃を行う動きが生まれています。
新規顧客への提案でも効果を発揮した
完成した動画は、新規顧客への提案の場でも効果的です。展示会では、購入後のサポート体制を紹介するために動画を活用しています。購入後の保守への備えを事前に確認できるため、顧客は安心して導入を検討できます。
6. このような企業におすすめ
以下のような課題を抱える企業には、本支援の活用が有効です。
- 従来の手段では作業手順が伝わらない
- 個別対応の工数を減らしたい
- 顧客の誤った作業による事故を防ぎたい
- 動画台本を自社では用意できない
メンテナンス動画を用いれば、手の動きや部品の向きなど、一連の流れとして作業時の注意点を伝えられ、顧客の作業ミスの防止につながります。完成した動画を問い合わせへの回答に使えば、個別対応の工数も減らせます。
現場経験のある機械系エンジニアが実演を確認しながら動画構成を固めるため、台本や資料が自社になくても制作に着手できます。社内教育や技能伝承、営業資料、展示会での上映用の動画制作にも対応しています。
なお、実際の費用と納期は、撮影対象の大きさや必要な編集内容によって変動します。製品のメンテナンス方法を動画で伝えたい企業は、まずは現状の課題からご相談ください。
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