Technical 機械設計・機構

アングル架台の強度計算|山形鋼の主軸・ねじり・横座屈の考え方と計算例

「アングルで組んだ架台の梁をM/Zで計算したら、許容値まで余裕があった。でも、この計算で本当に大丈夫なのか」——山形鋼(アングル)で設備架台を設計する現場では、こうした不安の声をよく聞きます。その不安には根拠があります。山形鋼は断面の主軸が辺に対して傾いており、荷重もせん断中心を通らないことが多いため、辺に平行な軸だけで計算すると、応力やたわみを小さく見積もるおそれがあるからです。

本記事では、アングル架台の強度計算で、M/Zの簡易計算だけでは判定できない3つの理由(主軸・ねじり・横座屈)を整理します。そのうえで、L-65×65×6の梁を例に、横方向の拘束がある場合とない場合で、応力とたわみがどれだけ変わるかを数値で示します。計算例では、同じ梁でも拘束がないと、最大の曲げ応力は約1.3倍、荷重点の沈みは約2.4倍になります。最後に、ねじれや斜めのたわみを抑える設計の工夫と、計算書に書いておくべきことも紹介します。

目次

アングル架台の強度計算とは|M/Zだけでは判定できない3つの理由

アングル架台の強度計算とは、山形鋼で組んだ架台の梁・脚・接合部が荷重に耐えられるかを、数値で確かめる作業です。確認する項目は一般の架台と同じですが、山形鋼の梁には、角パイプやH形鋼の梁にはない注意点が3つあります。

1. 山形鋼の主軸は、辺に対して45°傾いている

断面二次モーメントが最大・最小になる軸を、主軸と呼びます。等辺山形鋼では、最大となる強軸(u軸)と最小となる弱軸(v軸)が、辺に対して45°傾いています。L-65×65×6の場合、辺に平行なx軸まわりの断面二次モーメントIx=29.4 cm⁴に対し、強軸はIu=46.6 cm⁴、弱軸はIv=12.2 cm⁴です[1][2]。

3つの軸の値を並べると、次のとおりです。

軸断面二次モーメント断面二次半径
x軸(辺に平行)Ix=29.4 cm⁴ix=1.98 cm
u軸(強軸)Iu=46.6 cm⁴iu=2.49 cm
v軸(弱軸)Iv=12.2 cm⁴iv=1.27 cm

弱軸の値は、辺に平行な軸の約4割しかありません。辺に平行なx軸は主軸ではないため、真上から荷重をかけても、横方向に支えられていない梁は真下ではなく斜めにたわみます。M/Zxの計算は、梁が真下にだけ曲がるように横から支えられていることが前提です。なお、不等辺山形鋼では主軸の角度は45°にならないため、断面性能表のtanαで確認します。

等辺山形鋼L-65×65×6の断面の重心・せん断中心と、x軸・u軸(強軸)・v軸(弱軸)の関係を示す図

2. 荷重がせん断中心を通らないと、梁がねじれる

せん断中心とは、その点を通る荷重であれば、断面がねじれずに曲がる点です。山形鋼のせん断中心は、2枚の脚の板厚中心線の交点、つまりほぼ角(ヒール)の位置にあります。

機器の脚を水平脚の中央に載せると、荷重の作用線はせん断中心から離れ、「荷重×距離」のねじりモーメントが梁にかかります。山形鋼のような開いた断面は、角パイプのような閉じた断面に比べてねじり剛性が非常に小さいため、ねじれによる回転と沈みが無視できない場合があります。

3. 横から支えられていない梁は、横座屈も確認する

横座屈とは、曲げを受ける梁が、ある荷重に達したときに横へはらみ出しながらねじれる現象です。梁の圧縮側が横方向に支えられていないとき、スパンが長いほど起こりやすくなります。

許容曲げ応力度をF/1.5として比較する方法は、横座屈による低減が不要な場合の簡易比較です。支えのない梁では、横座屈で許容値が下がらないかを別に確認します。

なお、関連記事にて、架台の強度計算のやり方を紹介しています。確認すべき5項目と、計算の前に整理する4つの条件を解説し、本記事の計算例と同じ架台で計算書の書き方まで示しています。

アングル架台の梁の計算方法|横方向の拘束の有無で式を選ぶ

アングル架台の梁にどの式を使うかは、梁が横方向とねじれ方向にどこまで拘束されているかで決まります。ここでは、梁の状態ごとの計算方法を整理します。

梁の状態具体例計算方法
A:横方向・ねじれとも拘束されている天板や機器のベースが、梁の全長にわたってボルト・溶接で固定されている辺に平行なx軸まわりの曲げ(M/Zx、Ix)で計算できる。拘束する部材と接合部にも力がかかるため、その確認も必要
B:拘束がなく、荷重がせん断中心の近くに作用する荷重が角(ヒール)の真上に載る曲げモーメントを主軸(u・v)に分けて、または非対称曲げの式で計算する。斜めのたわみも評価する
C:拘束がなく、荷重がせん断中心から離れている機器の脚が水平脚の中央や先端寄りに載るBに加えて、ねじりによる応力と回転を評価する。スパンが長い場合は横座屈も確認する

「拘束あり」とみなせるかの判断が、計算の出発点です。機器を置いているだけで固定していない場合は、摩擦に頼ることになるため、拘束とはみなさないのが安全側です。また、つなぎ材が梁の両端にしかない場合、梁の中間は拘束されていません。

拘束の有無を判断できないときは、拘束なし(B・C)でも計算し、厳しい方の結果で判定します。そして、どの仮定で計算したかを、計算書に必ず明記します。

【計算例】アングル架台の強度計算|L-65×65×6の梁を主軸とねじりで計算する

関連記事「架台の強度計算のやり方」の計算例と同じ条件で、L-65×65×6の梁を、拘束の有無に分けて計算し直します。

以下の数値例は計算手順を示すための仮想モデルであり、完成品の強度を保証する設計計算書ではありません。実際の設計に用いる場合は、専門家による確認を受けてください。

設計条件

設計条件この例での設定
荷重梁1本の中央に集中荷重P=2,450 N(質量500 kgの機器を長辺側の梁2本で等分。g=9.8 m/s²で近似)
梁SS400等辺山形鋼 L-65×65×6、スパンL=1,000 mm
支持条件鉛直方向・横方向とも両端単純支持。両端では鉛直・横方向の移動と、ねじれ回転を拘束する。梁の中間は拘束なし(下記のAでは、梁の全長を拘束する)
取付方向水平脚を上にして架台の内側へ向け、鉛直脚を外側で下向きにする(図の向き)
荷重の作用位置水平脚の幅の中央(せん断中心からの水平距離e=29.5 mm)
材料定数ヤング率E=205,000 N/mm²、せん断弾性係数G=79,000 N/mm²、基準強度F=235 N/mm²
参考の比較値建築系の鋼構造設計の長期許容応力度の考え方を参考に、曲げF/1.5=156.7 N/mm²、せん断F/(1.5√3)=90.5 N/mm²
評価から除外した条件梁の自重、動荷重・衝撃、端部の接合部の詳細、角の丸みによる応力集中

このうち、荷重の作用位置と端部の拘束は、計算結果を大きく左右する仮定です。また、機器が複数の脚で梁に載る場合、荷重を中央の1点に集約できるとは限りません。実際の設計では、図面と据付方法から荷重の位置と分担を確認します。

なお、SS400の材料規格の降伏点の下限は、厚さ16 mm以下で245 N/mm²です[4]。ここでは関連記事と同じく、建築系の鋼構造設計で用いる基準強度F=235 N/mm²を採用しています。材料規格の値と、設計で採る基準強度は区別して扱います。

① 断面性能を確認する

L-65×65×6の断面性能は、断面積A=7.527 cm²、重心位置Cx=Cy=1.81 cm、Ix=Iy=29.4 cm⁴、Iu=46.6 cm⁴、Iv=12.2 cm⁴、最小断面二次半径iv=1.27 cm、断面係数Zx=6.26 cm³です[1][2]。

非対称曲げの計算には、辺に平行な軸についての断面相乗モーメントIxyも使います。断面性能表に載っていない場合は、等辺山形鋼であれば主軸の値から求められます。

Ixy=(Iu-Iv)/2=(46.6-12.2)/2=17.2 cm⁴(172,000 mm⁴)

検算:(Iu+Iv)/2=(46.6+12.2)/2=29.4 cm⁴=Ix

Ixyの符号は、山形鋼の取付方向と座標の取り方で変わります。以下では、重心を原点として、架台の内側を正とする水平座標x、上を正とする鉛直座標yを使います。この取付方向では、Ixy=+172,000 mm⁴です。

② 横方向に拘束された梁の曲げ応力とたわみ(A)

天板などで梁が拘束されていれば、関連記事と同じく、x軸まわりの曲げとして計算できます。

M=P×L/4=2,450×1,000/4=612,500 N・mm

鉛直脚の先端(引張):σ=M/Zx=612,500/6,260=97.8 N/mm²

上面(圧縮):σ=M×Cy/Ix=612,500×18.1/294,000=37.7 N/mm²

たわみ:δ=P×L³/(48×E×Ix)=2,450×1,000³/(48×205,000×294,000)=0.85 mm

この結果が使えるのは、梁の横移動とねじれが、全長にわたって拘束されている場合だけです。

③ 拘束がない梁の曲げ応力(B)

横方向の拘束がない梁は、横方向の曲げモーメントが0のまま曲がります。このとき、断面の各点の曲げ応力は、Ix・Iy・Ixyを使う非対称曲げの式で求めます(引張を正)。

σ=M×(Ixy×x-Iy×y)/(Ix×Iy-Ixy²)

Ix×Iy-Ixy²=294,000²-172,000²=5.685×10¹⁰ mm⁸(=Iu×Iv)

最も応力が大きくなる鉛直脚の先端の内面(x=-12.1 mm、y=-46.9 mm)では、次のとおりです。

σ=612,500×{172,000×(-12.1)-294,000×(-46.9)}/(5.685×10¹⁰)=126.1 N/mm²(引張)

同じ点を、主軸に分けて計算しても同じ値になります。曲げモーメントは強軸・弱軸の成分にMu=Mv=M/√2=433,103 N・mmずつ分かれ、この点のu軸からの距離は41.7 mm、v軸からの距離は24.6 mmです。

σ=Mu×41.7/Iu+Mv×24.6/Iv=433,103×41.7/466,000+433,103×24.6/122,000=38.8+87.3=126.1 N/mm²

断面の主な点の応力をまとめると、次のとおりです。

断面の点A:拘束ありB:拘束なし
角(ヒール)の外側-37.7(圧縮)-90.9(圧縮)
水平脚の先端・上面-37.7(圧縮)+29.6(引張)
鉛直脚の先端・外面+97.7(引張)+115.0(引張)
鉛直脚の先端・内面+97.7(引張)+126.1(引張)

単位はN/mm²で、引張を正、圧縮を負としています。A欄の鉛直脚の先端はM×y/Ixで求めた値で、M/Zxの97.8との差は、断面係数の表の値の丸めによるものです。拘束がないと、最大の引張応力は97.8から126.1 N/mm²へ約1.29倍になります。また、上面にある水平脚の先端が引張になるのは、中立軸が水平ではなく傾いているためです。

この取付方向では、最大応力が生じる鉛直脚の先端は引張側です。鉛直脚を上向きに取り付けると、同じ大きさの応力が先端に圧縮として生じるため、脚の局部座屈の確認も必要になります。

④ 拘束がない梁のたわみ(B)

拘束がない梁は、真下ではなく斜めにたわみます。鉛直・水平の成分は、次の式で求めます。

鉛直:δy=P×L³/(48×E)×Iy/(Ix×Iy-Ixy²)=1.29 mm

水平:δx=δy×Ixy/Iy=1.29×172,000/294,000=0.75 mm(架台の内側へ)

鉛直のたわみは、拘束がある場合の0.85 mmの約1.52倍です。この倍率Ix×Iy/(Iu×Iv)は、等辺山形鋼の寸法で決まり、スパンや荷重の大きさには関係しません。

⑤ ねじりによる応力と回転角(C)

荷重が水平脚の中央に載ると、せん断中心からの距離e=29.5 mmにより、梁の中央にねじりモーメントがかかります。

T=P×e=2,450×29.5=72,275 N・mm

梁の両端でねじれ回転を拘束していれば、左右の半分がT/2ずつを負担します。山形鋼のねじり定数Jは、角の丸みを無視した薄肉の近似式で求めます。山形鋼は、そりによるねじり抵抗がほぼないため、単純ねじり(サン・ブナンねじり)として扱います。

J≒Σ(b×t³)/3=(65+59)×6³/3=8,928 mm⁴(59=65-6:重なりを除いた脚の長さ)

せん断応力:τ=(T/2)×t/J=36,138×6/8,928=24.3 N/mm²

ねじれ角:φ=(T/2)×(L/2)/(G×J)=36,138×500/(79,000×8,928)=0.0256 rad(約1.47°)

ねじれによる荷重点の沈み:e×φ=29.5×0.0256=0.76 mm

荷重点のねじれによる沈みは、常に荷重と同じ下向きに生じます。そのため、荷重点の鉛直の沈みは、曲げの1.29 mmとねじれの0.76 mmを足して約2.0 mmです。拘束がある場合の0.85 mmに対して、約2.4倍になります。

曲げ応力とねじりのせん断応力を、参考としてミーゼスの相当応力で組み合わせると、√(126.1²+3×24.3²)≒132.9 N/mm²です。これは、それぞれの最大値を組み合わせた安全側の目安で、断面のある1点の応力を正確に求めた値ではありません。

また、端部のねじれ回転を拘束しても、ねじりモーメントそのものが消えるわけではありません。端部にはねじりの反力が生じ、接合部と脚に伝わります。端部がねじれを十分に拘束できない場合は、ねじれ角がさらに大きくなります。なお、端部のねじれ回転の拘束と、断面のそりの拘束は別の条件です。

⑥ 横座屈の確認(参考)

単一の山形鋼の横座屈をどの式で評価するかは、採用する規準で確認する必要があります。ここでは目安として、米国の鋼構造規準AISC 360に示された、等辺山形鋼が強軸まわりに曲げを受けるときの弾性横座屈モーメントの式を参照します[3]。

Mcr=9×E×A×rz×t×Cb/(8×Lb)

Mcr=9×205,000×752.7×12.7×6×1.0/(8×1,000)=13.2×10⁶ N・mm(13.2 kN・m)

ここで、rzは最小断面二次半径(iv=12.7 mm)、Lbは横方向の支点間距離(1,000 mm)、Cbは曲げモーメントの分布による補正係数で、安全側に1.0としています。この式は強軸まわりの曲げに対するものなので、比べる相手は、辺に平行な軸の曲げモーメントM=612,500 N・mmではなく、その強軸成分Mu=433,103 N・mmです。

強軸まわりの縁で降伏が始まる曲げモーメントは、235×10,139=2.38 kN・mで、Mcrはその約5.6倍です(10,139 mm³はIuを強軸から最も遠い先端までの距離45.96 mmで割った値)。実際に作用する強軸成分Mu=0.43 kN・mに対しては、約30倍の余裕があります。この寸法とスパンでは、横座屈が先に問題になる可能性は低いといえます。

ただし、Mcrはスパンに反比例して小さくなり、脚が薄い山形鋼ほど小さくなります。スパンが長い梁や、b/tの大きい山形鋼では、採用する規準の原本に従って確認します。AISC 360は米国の規準で、2022年版も発行されています。国内の設備架台に参照する場合は、採用する版と、国内の規準・仕様書との関係を整理しておきます。

計算結果のまとめ

項目A:拘束ありB:拘束なしC:拘束なし+ねじり参考の比較値
最大の曲げ応力(N/mm²)97.8126.1126.1156.7
ねじりのせん断応力(N/mm²)――24.390.5
相当応力(N/mm²、参考)97.8126.1132.9156.7
荷重点の鉛直の沈み(mm)0.851.292.04仮の目標L/300=3.33
ねじれ角――約1.47°機器の要求による
横座屈対象外Mcrは作用する強軸成分の約30倍同左採用する規準で確認

この条件では、どの場合も参考の比較値を下回ります。しかし、拘束がない梁では、M/Zで見た余裕が、実際の余裕よりも大きく見えます。機器の水平度や芯出しの精度が求められる場合、約1.5°のねじれ自体が問題になることもあります。

スパンが長いと、簡易計算と判定が逆転する

梁1本の荷重を2,450 Nのまま、スパンだけを変えて同じ計算をすると、次のようになります。

スパンM/Zxの簡易値主軸で求めた最大応力相当応力(ねじり込み)簡易のたわみ拘束なし+ねじりの沈み仮の目標L/300
1,000 mm97.8126.1132.90.852.043.33
1,200 mm117.4151.4157.11.463.134.00
1,500 mm146.8189.2193.82.865.485.00

応力の単位はN/mm²、たわみ・沈みの単位はmmです。スパン1,500 mmでは、M/Zxの簡易値(146.8)は参考の比較値156.7を下回り、たわみも目標を下回るため、一見すると問題がないように見えます。ところが、拘束がない場合は、主軸で求めた応力が189.2 N/mm²、沈みが5.48 mmとなり、どちらも比較値・目標を超えます。

スパン1,200 mmでも、相当応力157.1 N/mm²が比較値156.7をわずかに上回ります。簡易計算で「余裕あり」に見える梁ほど、拘束の仮定を確認する価値があります。

アングル架台の梁を横方向に拘束した場合と、拘束しない場合の梁中央の断面の変形の違いを示す図

アングル架台の設計の工夫|ねじれと斜めのたわみを抑える5つの方法

拘束がない場合の応力や変形が許容できないときは、計算をやり直す前に、構造で解決できないかを検討します。ここでは、効果の大きい5つの工夫を紹介します。

1. 天板・つなぎ材・機器のベースで梁を拘束する

天板や機器のベースを、梁の全長にわたってボルトや溶接で固定すれば、梁は横移動もねじれもしにくくなり、x軸まわりの計算(A)に近づきます。拘束する部材と接合部には力がかかるため、拘束材の固定方法と間隔も設計に含めることが必要です。

2. 荷重をせん断中心の近くに載せる

機器の脚やベースプレートを、山形鋼の角(ヒール)の近くで受けるように配置すると、ねじりモーメントT=P×eが小さくなります。水平脚の先端寄りに荷重が載る配置は、eが大きくなるため避けます。

3. 取付方向で、脚の先端を引張側にする

下向きの荷重を受ける両端単純支持の梁では、下側が引張になります。今回の例のように鉛直脚を下向きにすると、拘束がある場合に最大応力が生じる鉛直脚の先端は引張側になります。逆向きで先端が圧縮側になる場合は、脚の局部座屈(幅厚比)も確認します。

4. 断面の形を変える

ねじれや斜めのたわみが問題になる場合は、断面の変更も選択肢です。代表的な断面の特徴を比べると、次のとおりです。

断面鉛直荷重での斜めのたわみねじれ注意点
山形鋼(1本)主軸が傾いているため生じるせん断中心が角にあり、開いた断面のためねじれやすい拘束の有無と荷重の位置を必ず確認する
山形鋼2本の背中合わせ左右対称のため生じにくい荷重が対称軸上に載れば生じにくい所定の間隔でつづり合わせる
溝形鋼主軸が辺と一致するため生じにくいせん断中心が断面の外側にあり、荷重の位置によってはねじれる取付の向きで強さが大きく変わる
角パイプ主軸が辺と一致するため生じにくい閉じた断面のため、ねじれに強い端部の接合の納まりを事前に検討する

アングルのまま設計を続けるか、断面を変えるかは、重量・コスト・加工のしやすさと、拘束を設ける手間を比べて決めます。

5. 脚(柱)は最小の断面二次半径で座屈を確認する

山形鋼を脚に使う場合、圧縮による座屈は、断面二次半径が最も小さい弱軸(v軸)まわりで起こりやすくなります。関連記事の計算例でも、細長比はiv=12.7 mmで計算しています。脚の座屈の検討で、ix(19.8 mm)を使うと細長比を小さく見積もってしまうため注意が必要です。

アングル架台の強度計算書|山形鋼で追加して書くべき6項目

ここでは、山形鋼を使う架台の計算書に、一般的な記載事項に加えて明記すべき6項目を整理します。第三者が計算の前提を確認し、反論できる状態にすることが目的です。

  • 山形鋼の取付方向(断面図で、脚の向きと荷重の位置を示す)
  • 梁の拘束の仮定(どこを、何で、どの間隔で拘束したか)
  • 荷重の作用位置と、せん断中心からの距離e
  • 採用した計算方法(x軸まわりの計算か、主軸・ねじりを含む計算か)
  • 使用した断面性能(Ix、Iu、Iv、Ixy、J)とその出典
  • 評価していない項目(横座屈、局部座屈、端部の接合部によるねじれの拘束、機器の脚から水平脚への局部的な荷重による板曲げ、地震・振動・衝撃などの荷重)

関連記事で配布しているExcelテンプレートの梁の計算は、両端単純支持・中央集中荷重の簡易モデルで、山形鋼の主軸やねじりは評価していません。梁が拘束されていない場合は、本記事の主軸とねじりの計算を追加してください。

なお、関連記事にて、設備架台設計における強度計算支援の実績を紹介しています。強度計算の実施から、Excel計算書の整備、計算内容の理解の支援までの事例です。

まとめ|アングル架台の強度計算は「拘束の仮定」から式を選ぶ

アングル架台の強度計算の要点は、次の3つです。

  • 山形鋼の主軸は辺に対して傾いており、せん断中心も角にあるため、拘束のない梁はM/Zの簡易計算では判定できない
  • 梁が横方向・ねじれとも拘束されているかを先に判断し、拘束がない場合は主軸(非対称曲げ)とねじりで応力と変形を求める
  • 計算書には、取付方向、拘束の仮定、荷重の位置、採用した計算方法を明記する

とはいえ、拘束の有無や荷重の伝わり方は、図面だけでは判断しにくいのも事実です。弊社の設計・開発の受託/エンジニア紹介では、設備架台の強度計算から、計算条件の整理、社内で使えるExcel計算書の整備までを支援しています。強度計算の外注を検討される場合は、強度計算の外注で費用と納期を抑える判断基準もあわせてご覧ください。「この梁の計算方法で合っているか確かめたい」という段階から、お気軽にご相談ください。

参考資料

本記事は、下記の公開資料を確認し、数値例の計算を再計算して作成しています。規準の適用は、設備・用途・指定図書によって異なります。

  1. JFEスチール「造船用形鋼」等辺山形鋼の断面性能表
  2. 日本鉄鋼連盟「JIS G 3192 改正案」表8(2020年度公表の案。現行規格の原本ではありません)
  3. AISC「ANSI/AISC 360-16 Specification for Structural Steel Buildings」F10 Single Angles(2022年版が発行済み。採用する版は原本で確認してください)
  4. 日鉄スチール「製造規格」JIS G 3101(SS400)の機械的性質

ご利用にあたっての注意

本記事は、アングル架台の強度計算の考え方と手順を解説する技術資料です。計算例の数値は、明示した仮定に基づく参考値であり、個別の架台の安全性を保証するものではありません。

実際の設備架台の設計・製作・設置では、荷重、支持条件、接合部、基礎などを個別に確認する必要があります。架台の強度は人の安全に関わるため、実際の設計に適用する際は、設計の責任者や構造計算の専門家に確認したうえで、最終的に判断してください。本記事の内容を利用したことによって生じた損害について、当社は責任を負いかねます。

※本記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。

※本記事の内容は執筆時点の情報に基づいています。

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