Column

図面管理システムを導入するときに考えるべきポイント

市場で不具合のあった量産部品の修正をしようと思い図面を探しても同じ図面番号のモデルが見つからない、工場で使われている治具が古くなり、新しくしたいのでリーピートしようと思ったら当時作成した図面が見つからない、チームで設計作業をしていると更新時期や保存ファイル名がバラバラでどれが最新版か分からない、誰でもモデルや図面にアクセスして仕事を進められたら効率的だが担当者しか詳細を知らない。こうした図面管理の悩みは、現場の努力不足ではなく、ルール・管理といった仕組みが整っていないことに原因があります。

本記事では、製造業で図面管理システムが必要とされる背景から、うまくいかない原因、運用ルールの設計、システムの選び方、そして定着させるための進め方までを整理します。自社に合う図面管理システムを導入するときに考えるべきポイントの参考になればと思います。

目次

製造業で図面管理システムが必要とされる背景

図面管理システムの検討に入る前に、まず現状を押さえます。この章では、図面という資産の重要性と、それが十分に管理しきれていない実態を、調査データをもとに整理します。

■ 図面は最重要の経営資産だが管理が杜撰

図面は、製造業にとって最も重要な情報であり資産といっても過言ではありません。年商10億円以上の製造業で日常的に図面を扱う人を対象とした調査では、自社が保有する情報のうち「図面」を最重要と答えた人が5割以上にのぼり、次点の顧客情報を上回りました。これはそもそも顧客情報と図面との距離にも依存するので、一概に言えませんが一部の領域では確実にそういった認識があるのは間違いありません。

 一方で、その重要な資産の管理方法は各社確固たる方法が確立しているわけではなく、問題があったり、困って探し回ることもしばしば起こります。そのため、昨今AI技術が発展したことや技術者不足、とくに新人がいないことからより効率的な現場経営が求められることから図面管理システムを各社検討しています。ただ現状、システムを導入しても、共有サーバや紙との併存が解消されていないのが現場の実態です。つまり、システムを導入しても定着させて活用するためには大きな壁が存在すると思われます。

■ 図面検索に多くの時間が消費が費やされている

 管理十分行きわたっていない企業では、日々の作業時間として、前述の調査によると、従業員50人以下の月間ドキュメント検索時間は平均20時間近く、そのうち図面検索だけで半分以上の時間を占めているケースもあります。

 最悪のケースにおいて、設計者や生産技術者が毎月ほぼ丸1日以上を「図面を探す」ことだけに使っている計算になります。探す時間そのものは製品を生み出しません。検索にかかる時間の長さは、図面管理の仕組みが整っていないことの直接的なコストとして表れます。とくに中小企業では、こうした見えないコストが大きなインパクトを与えることに繋がりかねないので、経営層はしっかりと認識をしておくべきポイントです。

 ちなみに、企業ではこのような状態が常態化していることから、図面を探すよりも新しく設計しなおすことが多いです。そのため、さらに過去のモデルや図面が埋もれ、管理ができなくなるのです。

■ システムを導入しても課題が残る理由

 図面管理システムを導入すれば解決するわけではありません。同じ調査では、図面データ利用者の7割超が何らかの課題を認識していました。代表的な課題は、「図面にひもづく情報が見られない」、「部品の形状から検索できない」です。ここでいう情報とは、材料や設計根拠です。これは誰が作っても同じように設計製造するためには設計の思想を図面に落とし込んでおくことが必要だと考えているのでしょう。また部品から検索する理由は前述でも書いたように、量産の装置の一部に不具合が出た場合の対処や、共通部品を増やしていき、コストダウンを検討しようとした場合など、必要になってきます。

 しかし、管理システムを入れても紙や共有サーバが残り、課題は消えません。この背景には、システムを購入することだけでは不十分であり、定着し活用するためには別の方法が必要であるということです。確かに図面管理システムは便利であり、活用できれば効果を発揮しますが、導入を考えるうえで、知っておくべきポイントの一つです。

図面管理がうまくいかない主な原因

この章では図面管理がうまくいかない原因を整理します。原因を分けて捉えると、どのタイプの図面管理システムを選ぶべきか見えてきます。課題を解決するためには、まずは現状把握をしておくことが何よりも重要です。

図面管理の課題は、大きく次の4つの層に分けて整理できます。

課題層典型的な症状現場で起きること
識別部品番号の重複、ファイル名=品番重複部品、購買量の分散
版管理最新版が不明、コピーで版を管理誤製作、手戻り
変更理由「なぜ変えたか」がメール・口頭に散在同じ失敗の繰り返し
検索・再利用品番が分からないと探せない再設計、重複部品の増加

この4層それぞれが、どの現場でも起こりうります。自社がどの層で止まっているかをまず確認しましょう。対策の出発点になります。

■ 部品番号の重複と採番ルールの未整備

図面管理の土台になるのが、部品の図面を識別する採番ルールです。採番の基準が曖昧なままだと、同じ部品に別の番号が付いたり、逆に同じ番号で仕様の違うものが存在したりします。大半の企業はここで各人の裁量に任せてしまい、結果的に重複や使わない図面が大量に発生し、あとから見返してもどこに何があり、使えるのか使えないのかわからなくなります。

こうした状態が続くと、本来は共通化できる部品が別物として扱われ、購買コストが上がります。また将来大規模になってきた際、ERPシステムとの整合も取れなくなります。識別のルールが崩れると、その上に載る版管理や検索もすべて使いものにならないため、最初に整えるべき土台です。

■ 最新版が分からず旧版で製作してしまう

次に起こりやすいのが、最新版がわからない問題です。ファイルのコピーで管理していると、どれが承認済みの最新版かを人が判断することになります。日付で更新する人、k1・k2など特殊文字で管理する人など様々な人がおり、ルールが明確で浸透していない限り混乱します。

その結果、最悪のケースでは古い図面のまま発注を進めてしまい、手戻りや不良につながります。特に、共有サーバに「最新」「最新_修正」といった似たファイルが並ぶ状態は危険であり、最新版が一目で分かる仕組みがないままだと、ご発注・製造のリスクが常に残ります。

特に毎年、新人や中途入社の人が入ってきても、すぐに対応でき、定着するルール作りが必要です。

■ 変更理由がメール・口頭・個人PCに散在する

少し図面管理が上手くいかない理由から遠く感じますが、設計変更の「なぜ」が残らないことも、見落とされやすい原因です。設計は同じものを設計したとしても、違う人が設計するとまったく同じにはなりません。基準が違う、公差が異なる、加工方法や粗さが違う、何を優先して設計したか、その人の経験に影響されるわけです。しかし、何を変えたかは図面に反映されても、なぜ変えたのか、どの不具合や要求が起点だったのか重要であるにもかかわらず、メールや口頭、個人のPCにしか残っていないことが少なくありません。これが実際、図面を管理して活用しようとするモチベーションを下げたりもします。いわゆる属人的な業務であるため、積み上げて何かを残し資産化しようとはなりにくいわけです。

結果、変更の背景が追えないと、過去と同じ検討をやり直したり、同じ失敗を繰り返します。担当者が異動・退職すれば、その経緯は完全に失われることとなりずっとわからないままとなるため、本来変更理由は、図面そのものと同じくらい継承すべき情報です。

そもそも設計CADモデリングツールに機能がない

そもそも論ですが、2Dにしろ、3Dにしろ、モデリングツールにそういった図面を”管理”するという概念や機能は持ち合わせていません。あくまで現物をよりよく、安くつくっていくためにあるものです。

しかし、近年とくに技術の継承問題があり、モデリングだけでは企業の競争力が保てず、先人の知恵も含めて継承することが求められています。

脱Excel・共有サーバから始める図面管理の考え方

まずシステムを導入する前に、エクセルでできないかを考えてみましょう。仮にできない場合、それは多すぎてできないのか、少ないのにできないのか、後者であった場合、それはシステムを導入しても同じことなので、まずは社内でできることから小さく始めることはとても大切です。

■ エクセル台帳・共有サーバ管理の注意点

エクセルは、手軽に始められる一方で、規模が大きくなると管理しきれなくなります。台帳の更新が手作業のため、記入漏れや二重管理が起きやすく、実物のファイルと台帳がずれていきます。つまり、エクセルは自由度が高い分、ルールや仕組み、権限などをしっかりと決めておき、定期的に守られているか、守られていない場合、どうやったらルール通りに格納されるのかをしっかりと改善していくことが求められます。

また、共有サーバはフォルダ構成が人によって変更できるため、ファイルの置き場所や版の付け方が担当者ごとにばらつきます。これもエクセルと同様にフォルダの作成や名前つけなどしっかりとルールを決めておく必要があります。

ただ、数人規模の企業であれば、システムを導入せず、まずはエクセルで管理していくことをおすすめします。

■ まず「システム購入」から始めない

図面管理を見直すとき、いきなり高機能なシステムの購入から入ることは避けましょう。上述でもいいましたが、図面のファイル名、採番、管理方法、エクセルでできることから始めることです。小さくても、しっかりとした仕組みで回ることを確認してからでも遅くありません。

ではまずどうやって進めればいいのか、現状把握を優先する進め方が有効です。具体的には、次のような棚卸しから始めます。

  • 現在、誰が品番を発行しているか
  • 品番の体系と版のルールはどうなっているか
  • 同じ部品に別品番、同じ品番に別仕様がないか
  • 変更理由がどこに残っているか

こうした現状を洗い出したうえで、代表的な製品群で小さく試すのが、最も失敗の少ない進め方です。ツールを選ぶ前に、自社のルールとデータの状態を可視化することが先決になります。

図面管理システムを機能させる運用ルールの設計

システムを導入しても、運用ルールが伴わなければ定着しません。この章では、図面管理システムを機能させるために欠かせない、識別と版管理の基本ルールを整理します。

■ 部品番号と改訂版を分けて管理する

運用ルールの核になるのが、部品番号と改訂です。部品番号は変わらない識別子として扱い、設計変更の状態は改訂で管理します。

両者を混同すると、変更のたびに番号が変わり、体系がすぐに枯渇します。原則として、互換性を失う変更は新しい部品番号を発行し、互換性を保った変更は改訂で扱います。材質や調達区分、製品群といった属性は、品番に埋め込まず独立した項目として持たせます。部品番号は変わらない、改訂版は承認された変更の状態として切り分けるのが基本です。

■ 作業中の図面と承認済みの図面を区別する

図面の管理では、作業中の図面と承認済みの図面を分けることが重要です。CADで作業中に保存を繰り返す段階の図面と、正式に承認されて生産に使える図面は、大きく異なります。

作業中の版をそのまま現場に配布すると、確定していない図面で製作が進み、当然ですが最終製品に影響します。現場が信じていい図面は、承認済み図面だけにすることで、ミスや手戻りを防げます。作業の履歴は残しつつ、現場に出すものは最終版のみ、という線引きを仕組みで担保します。

図面管理システムの種類と選び方

運用ルールの方針が定まったら、それを支えるシステムを選びます。この章では、そもそも図面管理システムができること、その種類と違い、自社に合うものを選ぶ判断軸を整理します。

■ 新規採番の前に既存部品を検索する

部品の共通化を進めるうえで効果的なのが、採番の前に既存部品を探すルールです。新しく番号を付ける前に、同じものや似たものがすでにないかを検索する手順をおきます。これができることが図面管理の最大のポイントかもしれません。

具体的な流れは次のようになります。

  • 属性(材質・寸法など)で既存部品を検索する
  • 形状の類似で候補を探す
  • 該当する標準部品がないか確認する
  • どれにも該当しない場合のみ、新規に採番する

この手順を挟むだけで、重複部品の発生を抑え、流用設計を進めやすくなります。登録後に重複を統合するより、採番前に見つける方がはるかに手間がかかりません。

■ 変更理由を残す

設計変更では、何を変えたかだけでなく、なぜ変えたかを構造化して残します。変更の記録を、図面のコメント欄ではなく、変更を管理する仕組みの中に項目として保持します。

最低限、次の情報を残せると、後から経緯を追えます。

  • 何を変えたか
  • なぜ変えたか(起点になった要求や不具合)
  • 影響する部品やBOM
  • 承認者と有効開始の時点

こうして変更理由を残しておけば、担当者が代わっても、過去の判断の背景をたどれます。変更管理は、記録を残すこと自体が目的ではなく、後の設計判断を支えるための土台になります。

この2点はシステムを導入する最大のメリットです。

■ 文書・図面管理システムとPDM・PLMの違い

図図面管理システムと一口にいっても、管理する対象や目的は製品によって異なります。大きく分けると、文書・図面管理、AI図面活用、PDM、PLMの4つがあります。

種類主な役割向いている企業
文書・図面管理図面・PDF・仕様書などの検索、版管理、承認共有サーバから脱却したい
AI図面活用類似図面検索、OCR、過去図面・関連情報の活用過去図面を探して再利用したい
PDMCADデータ、参照関係、改訂、BOM、承認の管理設計データそのものを統制したい
PLM設計から調達・生産・品質まで製品情報を統合製品ライフサイクル全体を管理したい

文書・図面管理システムは、PDFやCAD図面、仕様書などを一元管理し、「どれが最新版なのか」「誰が承認したのか」を明確にすることが主な目的です。

PDM(Product Data Management)はさらに一歩踏み込み、3DCADの部品・アセンブリ・図面の参照関係や改訂、BOMなど、設計データそのものを管理する仕組みです。

PLM(Product Lifecycle Management)はPDMより対象が広く、設計だけでなく調達、生産、品質、サービスなどを含め、製品に関する情報をライフサイクル全体で管理します。

一方、近年急速に増えているのが、AIを使って過去図面を探し出し、再利用するタイプです。従来の図面管理が「正しい図面を保管・管理する」ことを重視していたのに対し、AI図面活用型は「大量に蓄積された図面から、必要な情報を見つけて使う」ことに重点を置いている点が大きな違いです。

■ 主な図面管理システムと開発・販売企業

国内の製造業で利用されている代表的なサービスを整理すると、次のようになります。

分類企業・製品主な特長
AI図面活用キャディ/CADDi DrawerAIによる類似図面検索。図面上の寸法・記号・文字などを読み取り、過去の類似部品や関連情報を探しやすい
AI図面活用New Innovations/図面バンクAI類似検索に加え、図面と検査証明書・作業指示書・CAD/CAMファイルなどを紐付けて管理。3Dモデルにも対応
クラウド図面管理Fact Base/ズメーン図面だけでなく、工程指示書や見積履歴などをクラウド上で一元管理。中小製造業の現場で使いやすい構成
AI図面活用営業製作所/ジーエン図面AI-OCRと形状・寸法・材質などを組み合わせた類似検索が特徴。手書きのポンチ絵や写真を起点とした検索にも対応
図面管理日立ソリューションズ西日本/Hi-PerBT Advanced 図面管理図番採番、照査・承認、配付、廃図など正式な図面管理業務を広くカバー。CAD・BOMとの連携にも対応
図面管理新明和ソフトテクノロジ/NAZCA5 EDM検索、版管理、承認ワークフロー、親子図面の構成管理などを搭載。製造業向けに必要な機能を絞った構成
文書・図面管理アイサイト/D-QUICK7CADメーカーやファイル形式に依存せず管理可能。自動版管理やAPI連携に加え、AI類似図面検索もオプションで利用可能
PDMDassault Systèmes/SOLIDWORKS PDMSOLIDWORKSとの連携に強く、CADファイルの参照関係、バージョン、アクセス権、ワークフローを管理
PDMAutodesk/VaultInventorやAutoCADなどと連携し、CADデータ、改訂、BOM、設計データの再利用を管理

このように比較すると、同じ「図面管理」という名称でも目的はかなり違います。

たとえば、「最新版が分からず間違った発注が起きる」のであれば版管理や承認に強い図面管理システムが候補になります。一方で、「過去に同じような部品を設計したはずだが見つからない」のであれば、AI類似検索型のサービスが適しています。

さらに、SOLIDWORKSなどの3DCADを複数人で使用し、部品・アセンブリ・図面の参照関係まで正しく管理したいのであれば、PDMを検討する必要があります。

つまり、「図面管理システムはどれが一番優れているか」ではなく、自社が何に困っているかによって選ぶべき種類が変わるということです。

■ AI類似検索は過去の図面を「資産」に変える

近年の図面管理で特に注目されているのが、AIによる類似図面検索です。

従来のシステムでは、図番や品名、材質など、あらかじめ登録された属性を知らなければ目的の図面を探せませんでした。しかし、実際の現場では、「10年前に似た形状を設計した記憶はあるが図番が分からない」といった課題が多く、解決したい企業は多くあります。

AI類似検索では、図面そのものの形状や記載情報を解析し、似た図面を候補として表示できます。CADDi Drawerでは図面の形状や寸法、テキストなどを解析した類似図面検索を提供しています。図面バンクも大量の過去図面から類似形状を検索でき、関連書類や3Dデータと合わせて管理できます。

これにより、

  • 過去設計の流用による設計工数削減
  • 重複部品の一元管理化による手間削減
  • 共通部品化によるコスト削減
  • 不具合発生時の類似部品調査の容易化
  • 見積時の過去実績確認による経時変化の確認

といった業務への活用がしやすくなります。

PDMは、どのデータが正式な最新版なのか、部品とアセンブリがどのようにつながっているのかを管理する仕組みです。一方、AI類似検索は、蓄積された大量のデータから必要な情報を「発見する」ことに強みがあります。

そのため、既存のPDMで正式な設計データを管理しながら、AI検索を追加して過去資産を探しやすくする、といった組み合わせも考えられます。ただし、規模が大きければ、投資額も回収できますが、まずは小さくやる場合、必ずしもシステムは必要ではないことは前述述べた通りです。

■ 自社のCAD環境に合わせて選ぶ

システム選定では、まず自社の課題を明確にします。

現在の課題検討しやすいシステム
図面が各所に散在している文書・図面管理
最新版が分からない版管理・承認機能を持つ図面管理
過去の似た図面を見つけられないAI類似図面検索
重複部品を減らしたいAI検索+属性・部品管理
3DCADの参照関係が壊れるPDM
複数人でCAD設計しているPDM
BOMや生産・調達まで統合したいPDM・PLM

そのうえで、自社が使用しているCADとの連携を確認します。

SOLIDWORKSを設計の中心にしているのであれば、SOLIDWORKS PDMは有力な選択肢です。SOLIDWORKS PDMでは、CADモデルや関連文書を一つの保管領域で管理し、変更履歴、アクセス権、検索、ワークフローなどを管理できます。

InventorやAutoCADを中心に使用している場合は、Autodesk Vaultが候補になります。VaultではCADとの連携に加え、リビジョンやBOM、設計データの再利用を管理できます。

一方、複数メーカーのCADを使用していたり、紙図面やPDF、仕様書などを含めて管理したい場合は、CADメーカーに依存しない図面管理システムの方が適している場合があります。

重要なのは、使用しているCADだけで製品を決めるのではなく、「何を管理したいか」と「どこまで管理するか」を先に決めることです。

高機能なPLMを導入しても、解決したかった課題が「最新版の図面が分からない」だけであれば、過剰な投資になる可能性があります。反対に、3DCADを複数人で設計している企業が単純なファイル管理システムだけを導入しても、CADの参照関係や部品構成までは十分に管理できません。

自社の課題を整理し、それに必要な機能を持つシステムを選ぶことが、自社にあった図面管理システムが選べ、活用するモチベーションにもつながり、定着させるためのコツです。

■ 導入効果の見積もり方

導入を検討する際は、効果を試算して判断材料にします。すべての効果を一度に見積もるのは難しいため、まずは測りやすい指標から評価するのが現実的です。

たとえば図面検索の時間削減は、比較的試算しやすい指標です。前述の月9.9時間という検索時間を基準に、削減できる割合と対象人数、時間あたりの人件費を掛け合わせれば、おおよその効果が見えてきます。実際の効果は前提条件によって変わるため、断定はできませんが、検索時間の削減だけでも投資判断の出発点になります。再設計の削減や重複部品の抑制などは、導入後にKPIとして別途測定していくとよいでしょう。

なお、SOLIDWORKS PDMのような製品は、導入しただけでは採番や版管理のルールがCADの操作に落とし込まれず、設計者の登録作業が増えるだけに終わることがあります。プロパティ項目やワークフロー、リビジョンのルールを自社の運用に合わせて設計し、現場に定着させるところまでが、効果を引き出す分かれ目です。

SOLIDWORKSを導入したものの活用しきれていない、PDMの運用ルールを整えたいという場合は、SOLIDWORKS定着・活用支援もあわせてご覧ください。

図面管理システムを定着させるための進め方と体制

システムは、選んで導入すれば終わりではありません。この章では、図面管理システムを実際に機能させ、現場に定着させるための進め方と体制を整理します。

■ 小さく始めて段階的に広げる

定着のカギは、一度に全社展開せず、小さく始めて段階的に広げることです。全部門・全データを一括で移行しようとすると、負荷とリスクが集中します。

現実的な進め方は、次のような段階を踏みます。

  • 短期:品番・版・変更理由・検索のルールを棚卸しし、代表製品群で試す
  • 中期:PDMに承認済みデータを集約し、CADやBOMと連携する
  • 長期:品質・生産・調達へと連携範囲を広げる

まず再利用価値の高い承認済みデータから移行し、価値の低い過去ファイルは検索できるアーカイブとして分離すると、リスクを抑えられます。段階を踏むことで、各段階で効果を確認しながら次に進めます。

■ システムを回す人材・設計基準を決める人材が要る

図面管理システムを定着させるには、それを回す人材と、基準を決める人材が欠かせません。ツールを導入しても、採番や版管理のルールを決め、運用を維持する役割がいなければ、仕組みは必ず形骸化します。

とはいえ、中小製造業では専任のPDM管理者を置く余力がない場合がほとんどです。設計基準やデータ移行の方針づくりは、社内に知見がないまま進めると、ほぼ確実に手戻りをおこします。こうした場面では、必要な範囲だけ外部の専門人材を組み合わせる進め方も選択肢になります。社内で判断すべき範囲と、外部に相談できる範囲を切り分けて考えると、進めやすくなります。

採番や図面管理のルール設計、データ移行の方針づくりは、製造業の設計実務を理解した人材が関わることで、現場で機能する形に落とし込めます。採用で専任者を確保するほどではないが、立ち上げの一時期だけ専門性を借りたい、という場面も少なくありません。

図面管理の仕組みづくりを担う人材を、必要な範囲だけ確保したい場合は、エンジニア紹介サービスで、現場経験を持つ機械系エンジニアへの相談が可能です。

まとめ:図面管理システムは「入れる」より「回す」設計から

図面管理の問題は、システムを購入するだけでは解決しません。調査データが示すように、システムを導入しても紙や共有サーバが残り、利用者の多くが課題を抱え続けています。

出発点になるのは、部品番号と図面管理のルールを整理し、変更理由を残し、採番の前に既存部品を探すという、運用ルールの設計です。そのうえで、自社のCAD環境に合ったシステムを選び、小さく始めて段階的に広げていきます。

自社ではどこから手をつけるべきか、どのルールから整えるべきかが見えにくい場合は、現状の棚卸しから整理することをおすすめします。SOLIDWORKSを中心に運用の定着を進めたい場合や、設計基準づくりや運用を担う人材を確保したい場合は、外部の支援を組み合わせる進め方もあります。自社の状況に合う第一歩を、お気軽にご相談ください。

Contact

この記事の内容について、詳しく相談したい方へ

貴社の状況に即した具体的なご提案が可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

お問い合わせはこちら

お問い合わせ

お気軽にご相談ください。

ご相談はこちら
目次