動画マニュアルで教育の仕組み化と保守業務の省力化を実現 — 機械・装置メーカー支援

実績事例

この実績の担当者

大手メーカの昇降機・建築設備分野を中心に、設計・生産技術・現場対応まで幅広く経験してきたエンジニアです。AutoCADやiCADを用いた設計業務に加え、強度計算、荷重検討、治具設計、現場据付向け図面作成に対応してきました。エレベーター分野では、新設・改修案件、マニュアル作成、不具合対策、新規開発、工程改善、現場支援など幅広い実績があります。現場目線で課題を捉え、品質向上・効率化・人材育成につなげる実践的な支援を強みとしています。

金城 誠一

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機械・装置メーカーでは、製品の保守対応のために技術者が遠方の客先まで出向く負担と、社内教育の属人化に悩まされる場面が少なくありません。人手不足が深刻化するなかで、「現場対応に追われて改善や開発に手が回らない」という構造的な課題を抱える企業が増えています。


今回の事例は、現場経験を持つエンジニアが動画マニュアル制作と作業手順の標準化を一貫して担い、教育時間を約80%、出張対応を約50%削減した取り組みです。「人に依存する教育」から「映像で標準化された教育」へと、現場運営の基盤が変化しています。

目次

1. 支援先企業の概要

項目内容
業種製造業(機械・装置メーカー)
規模中小企業
主な事業装置製造および保守対応
課題領域教育効率化・業務標準化・出張削減

当該企業は、自社で製造・販売した機械・装置の保守対応のため、技術者が遠方の客先へ出向く体制を続けてきました。一方、社内ではパート社員への業務説明や教育に多くの時間を割いており、現場対応と教育業務の両面で負荷が重なっている状況でした。

2. 支援前の状況と課題

当該企業が抱えていた課題は、大きく3つの側面に整理できます。教育の属人化、作業手順のばらつき、そして出張対応に技術者が拘束されることによる開発リソースの不足です。

教育が口頭・OJTに依存し属人化

教育の手段が口頭説明とOJTに偏っており、特定の担当者しか指導できない状態が続いていました。指導役が不在になれば教育そのものが止まってしまうため、新規採用やパート社員の受け入れが進みにくい構造になっていました。

作業手順のばらつきと品質の不均一

教育方法が統一されていないため、同じ工程でも作業者ごとに手順が異なる事態が生じていました。結果として製品の完成度にばらつきが発生し、品質確保を担当者個人の力量に頼らざるを得ない状況でした。

出張対応に技術者が拘束され、開発が進まない

保守対応のために技術者が頻繁に出張を強いられ、社内で進めるべき改善業務や新規製品の開発に集中できない状態が続いていました。客先からの呼び出しが入るたびに本来業務が中断され、技術者本人の生産性も組織全体の開発スピードも低下していました。

3. 実施した設計・開発支援

エンジニアが今回実施した支援内容は、以下の3点です。

動画マニュアルの制作

実際の作業現場をそのまま撮影し、誰が見ても理解できる形式で動画マニュアルを整理しました。経験の浅い作業者でも映像を見ながら作業を進められる仕組みとしたうえで、客先側でも対応できる内容に踏み込んで構成しています。

これにより、これまで技術者の出張に頼っていた現地対応の一部を、動画と部品提供だけで完結できる範囲に置き換えました。

作業手順の整理・改善支援

動画化を進める過程で、ミスが発生しやすい工程の見直しも行いました。記入作業やトルク管理など、判断に幅が生じやすい工程を洗い出し、手順そのものを改善しています。

特にシール貼付のミス(左右違い・貼り忘れ)に対しては、貼付位置・タイミング・枚数を整理し直し、現場目線で「ミスしにくい手順」を再構築しました。

作業手順の標準化

人によって異なっていた作業手順を、動画を基準として全作業者に共有することで、再現性のある作業へ統一しました。準備物や注意点も動画内で明確化し、「誰が見ても同じ手順で作業できる」状態を実現しています。

4. 動画マニュアル制作を進めるうえで工夫したこと

エンジニアが意識したのは、現場の実態をそのまま映像化することと、撮影が現場の負担にならない進め方を徹底することです。

「見ればわかる」構成

冒頭で完成形と全体像を提示し、動き中心の映像構成としました。静止画とテキストは最小限に抑え、作業者が映像を見ながら作業内容を理解できる流れにしています。

現場の負担を増やさない撮影

特別な準備や段取りを求めず、普段どおりの作業をそのまま撮影する方針で進めました。ナレーションは撮影後に編集しているため、現場側で台本を準備する必要もありません。撮影のために業務を止めることがなく、現場の協力を引き出しやすい進め方となっています。

現場のリアルをそのまま反映した収録

実際の作業者の動き・気付き・やりづらさを編集で削ぎ落とさず、そのまま収録しています。「ミスしやすいポイント」も動画内で明確に示すことで、教科書的な説明では伝わらない実務上の勘所まで映像に残せました。形式的なマニュアルではなく、現場で実際に役立つ内容に仕上がっています。

5. 成果と変化

今回の支援による成果は、教育時間や出張回数といった数値面だけでなく、現場の運営体制や製品改良の進め方にも広がっています。

数値面の成果

動画による自主学習が定着したことで、パート社員への教育時間が約80%削減されました。指導や質問対応に割く時間が大幅に減り、教育担当者は本来の業務に戻れる状態になっています。

また、現場出張の回数は約50%削減されました。動画マニュアルと部品提供を組み合わせることで、これまで技術者の出張が必要だった対応の一部を客先側で完結できるようになり、技術者は社内業務に専念できる環境が整っています。

現場・運営面の変化

変化は数値にとどまらず、現場運営の構造にも及んでいます。

  • 作業手順が統一され、品質のばらつきが解消
  • 教育の属人化が解消され、誰でも同じ基準で作業可能に
  • 保守出張が削減され、新規製品開発に注力できる環境へ
  • 作業のしにくさや危険箇所が可視化され、製品改良に貢献

副次的な効果として大きかったのが、動画製作の過程で「作業のしにくさ」や「工具の使いにくさ」、「スペース不足」といった現場の課題が可視化された点です。これらの課題は開発部門に共有され製品設計に落とし込まれることで、次期製品の改良につながっています。

動画マニュアルが教育ツールにとどまらず、製品改良の起点としても機能し始めています。

6. このような企業におすすめ

以下のような課題を抱える企業には、本支援の活用が有効です。

  • 教育が属人化している企業
  • 人材定着に課題がある企業
  • 作業手順を標準化したい企業
  • 顧客側で対応できる業務を増やしたい企業
  • 技術者を開発業務に集中させたい企業

教育の属人化と出張依存は、中小製造業に共通する構造的な課題です。動画として作業の知見を残すことは、足元の教育効率を高めるだけにとどまりません。人材の入れ替わりや技術伝承の場面でも、知見の継承を支える基盤として機能します。

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