「いまさらSEOに意味あるんですか?」から始まった9カ月─先端加工技術サービス会社のWeb集客支援
「Webサイトはあるのに問い合わせが来ない」、「展示会に出ても費用対効果が合わない」。そんな課題を抱えていた先端加工技術サービス会社が、9カ月の支援を経て連日の問い合わせ・見積もり依頼が入る状態へと変化しました。
本記事では、社内の意識改革とSEO戦略の策定を起点に、コンテンツ整備を通じてWeb集客を拡大した支援事例を紹介します。
1. 支援先企業の概要
| 項目 | 内容 |
| 業種 | 先端加工技術を活用した受託加工サービス |
| 規模 | 社員数:約30名 |
| 地域 | 東北 |
| 販売形態 | BtoB |
| 主な顧客 | 機械系の設計・開発者、購買担当者 |
普及途上にある技術領域で事業を展開しており、情報を探しているユーザーへのWebでのアプローチが特に有効な市場環境にありました。
2. 支援前の状況と課題
新規集客は展示会を主軸としていましたが、投じている費用や工数に対して十分な費用対効果が得られておらず、Web集客に取り組む必要性を感じていました。Webサイトは支援開始の約3カ月前にデザインをリニューアルしたばかりでしたが、SEOを意識した設計にはなっておらず、たまたま検索需要と合致していた1ページを除き、ほぼ閲覧されていない状態でした。
その結果、Web経由の問い合わせはほぼゼロという状況で、社内にWebマーケティングの知見を持つ人材もいないため、何から着手すべきか判断できずにいました。
3. 実施したWebマーケティング支援
支援の中心は「社内の意識改革」「戦略設計」「コンテンツ制作」の3つを軸に展開しました。具体的な施策は以下の通りです。
●社内の意識改革
支援開始の早い段階で、「検索需要ベース」でコンテンツを作るという方針を支援先メンバーと共有しました。今回の主目的は新規顧客の開拓にあり、まだ接点のない見込み客に存在を知ってもらうためには、見込み客が実際に検索するキーワードで上位表示を獲得することが有効と考えたためです。
加えて、Webマーケターが競合調査を実施したところ、SEO対策に本格的に取り組んでいる競合はほとんどおらず、検索キーワードのポジションがほぼ空いている状態でした。この状況は、先手を打ってキーワードを押さえることで、効率よく新規集客を進められる絶好の環境といえます。そこで、SEOの概要や世の中の成功事例を紹介する資料を作成し、定期MTGの場で情報共有を重ねました。
●戦略設計
戦略は、キーワードの選定方針と問い合わせへの導線設計という2点を軸に整理しました。
まずキーワードについては、検索ボリュームのある関連キーワードをすべて洗い出したうえで以下の3種類に分類し、各カテゴリから偏りが出ないように対策キーワードを選定しています。
- 課題解決系キーワード
- 技術解説系キーワード
- サービス比較系キーワード
優先順位は検索ボリュームと購買意欲の高さのバランスで判断し、取り組む順序を決めていきました。
次に導線については、「Webサイトへの訪問者を増やすだけでは売上への貢献にはならない」という前提に立って方針を整理しました。Web集客における最初の目標は、問い合わせや見積もり依頼を得ることにあります。しかし支援前のサイトでは、ページを閲覧した訪問者を問い合わせへ案内する導線が用意されていませんでした。そこでマーケターは、訪問者が自然な流れで問い合わせまでたどり着けるよう、導線そのものを一から設計し直しました。
●コンテンツ制作・運用
支援先担当者の手間が最小限に収まるよう、企画から構成、執筆をまで一貫して担当しました。細かいヒアリングを都度お願いすることなく制作を進め、コンテンツを継続的に積み上げています。公開後はGA4でアクセスデータを定期的に確認し、コンテンツの改善や導線の調整に反映しながら運用を続けました。
4. コンテンツ制作を進めるうえで工夫したこと
コンテンツ制作にあたって最初に取り組んだのは、「誰に、何を伝えるか」の整理です。ターゲット顧客像と、その人たちが抱える疑問・課題を明確にしたうえで、それらに正直に答えることをコンテンツの軸に据えました。
製造業専門のWebマーケターは設計実務の経験者でもあるため、想定読者と同じ視点を持つ強みがあります。この強みを活かすことで、支援先担当者へのヒアリングを最小限に抑えながら、担当者の負担が増えない形で制作を進められました。
とはいえ、支援当初は、担当者との意識のすり合わせに時間を要しました。担当者が取り組むのは自分たちが書きたいページに限られ、検索需要を意識したページへの対応はなかなか進まなかったためです。担当者が協力的とは言えない中、マーケターは信頼を積み上げながら「まず1ページだけ試してみてください」と粘り強く向き合い続け、ようやく公開にこぎつけました。
決してスムーズな立ち上がりではありませんでしたが、今ではそのページはサイト内で最も閲覧されるコンテンツに育ち、担当者のマインドチェンジの起点となっています。
5. 成果と変化
数値面の成果
新規公開したページはいずれも、狙いのキーワードで検索5位以内を獲得しています。検索順位は公開後も時間をかけて上昇する性質があるため、直近で公開されたページはさらに順位が伸びる可能性があります。
Web経由の問い合わせは定期的に発生するようになり、2026年2月は「問い合わせ」または「見積もり依頼」が、平日は毎日計測されるまでに至りました。
現場の変化
支援開始から3カ月は、「いまさらSEOなんてやる意味があるんですか?」と声をかけられるほど、担当者からの理解を得るのが難しい期間が続きました。そのような状況ですと、新規コンテンツの投入は一向に進みません。それでもマーケターが粘り強く向き合い続けた結果、担当者は少しずつ姿勢を変え、新規コンテンツの執筆や監修に協力するように変化していきました。
SEOや検索需要の考え方が担当者間に浸透したことで、「自分たちが書きたいコンテンツ」ではなく「顧客が読みたいコンテンツ」を作るという発想が社内に根づき始めています。
6. このような企業におすすめ
今回の事例は、以下に当てはまる企業に向いている支援です。
- 技術力はあるが、Webで伝わっていない
- 展示会や紹介中心の集客で、Web集客の仕組みがない
- Webマーケティング専任者がおらず、何から始めればよいか分からない
特にBtoB製造業の領域では、Webマーケティングの活用が遅れているのが実情です。しかし裏を返せば、技術領域がニッチであればあるほど競合が少なく、取り組んだ分だけ成果に結びつきやすい環境ともいえます。ただし、製造業の専門知識を持たないマーケティング会社がこの領域に踏み込むのは難しく、製造業の実務知識を備えたWebマーケターが関わって初めて、本当に機能するコンテンツを生み出すことができます。