機械設計者ゼロから自社製品をかたちに ― 製缶物プロトタイプ開発の一貫支援

実績事例

この実績の担当者

国内大手産業機器メーカーで10年以上にわたり、ロボット・モータの開発に従事してきた機械系エンジニアです。研究開発から量産化対応まで一貫した経験を持ち、3DCAD(Creo/SolidWorks/iCAD)による機械設計、強度・振動解析、量産コスト試算に強みがあります。製造業向けの受託設計では、仕様ヒアリングからプロトタイプ設計、図面化、見積もり妥当性の検証までを一貫して担当します。九州在住、全国対応可能です。

木宇井 悠希

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「自社開発の製品を世に出したい。けれど、社内に機械設計者がいない」。本記事で紹介するのは、このような課題を抱えた中小製造業を支援し、開発を前進させた事例です。

支援にあたった機械系エンジニアは、仕様の聞き取りから機械設計、加工メーカーの見積もり妥当性の検証までを一貫して担当しました。その結果、量産コストの見積もりを当初比で約50%まで削減でき、新規事業としての収益性を確保できる見込みに到達しています。

目次

1. 支援先企業の概要

項目内容
業種設備機器のリース・メンテナンス業
規模中小企業
地域神奈川県
販売形態BtoB
今回の支援領域自社製品プロトタイプ開発・機械設計・量産コスト試算

当該企業は、設備機器のリース・メンテナンス業を中心に事業を展開してきた中小製造業です。自社工場でのメンテナンス事業で培ったエンジニアリング技術を土台に、自社ブランドの製品を新規事業として立ち上げる構想を掲げていました。一方で、社内には機械設計を担える技術者が不在で、構想を製品の形に落とし込む段階で動きが止まっていました。

2. 支援前の状況と課題

当該企業が抱えていた課題は、大きく3つの側面に整理できます。設計人材の不在、既存製品の課題を解消するための設計方針の未整理、そして量産化に向けたコスト見通しの不足です。それぞれが連動し、新規事業を前に進める妨げとなっていました。

自社開発を担う機械設計者が在籍していない

社内には加工現場の技術者は揃っていたものの、仕様検討から設計、図面化までを担える機械設計者は不在でした。新規事業として自社製品を企画しても、構想を具体的な設計図に落とし込む工程で止まってしまい、ものづくりが先に進まない状態が続いていました。中途採用や育成では成果が出るまでに時間を要するため、外部の知見を活用する選択肢が現実的な解決策となっていました。

既存品の課題を解消する設計方針が定まっていない

新規プロトタイプは、競合他社の既存製品をベンチマークとして仕様策定を進める方針でした。しかし、ベンチマーク対象の製品にも実運用上の課題が複数存在しており、「同じものを作っても市場で勝てない」というジレンマが浮上していました。改善方針を整理しないままプロトタイプ開発に着手すれば、既存品と同じ課題を抱えた製品が出来上がるリスクがあったのです。

量産化に向けたコスト見通しが立たない

プロトタイプの設計コストだけでなく、量産時に1台あたりいくらで作れるかという見積もりも、当該企業内では試算できない状況でした。販売価格と量産コストの差が利益を生む構造上、コスト見通しを伴わない開発は「いいものはできたが利益が出ない」という結末を招きやすい状態です。

3. 実施した設計・開発支援

機械系エンジニアは、当該企業が抱えていた課題に対し、設計・開発の各工程を支援しました。仕様の聞き取りから機械設計・図面化、加工メーカーの見積もり妥当性の検証までを一貫して担当しています。

仕様ヒアリング

クライアント企業を訪問し、プロトタイプに求める仕様を担当者からヒアリングしました。ベンチマークとなる他社製品を実機ベースで確認し、課題と改善点を表にまとめました。これにより、改善後のプロトタイプが既存品の課題を漏れなく解決する見込みを立て、クライアントも納得の上設計を進めることができました。

機械設計(プロトタイプ設計〜量産対応図面化)

整理した仕様をもとに、プロトタイプを設計しました。今回の製作物はモータ駆動の撹拌機です。寸法、組立性、加工容易性のバランスを取りながらモデリングを進めています。3Dモデル完成後は、加工メーカーがそのまま見積もり・製作にかけられる水準の2D図面まで落とし込みました。

加工メーカー見積もりの妥当性検証

完成した図面を複数の加工メーカーへ提出し、見積もりを取得しました。取得した見積もりを材料費・加工費・購入品費に分解し、一般的な相場と照らし合わせながら妥当性を検証しました。

4. 設計支援を進めるうえで工夫したこと

同エンジニアが意識したのは、設計者不在という前提のもとで成果物の質を担保することと、プロトタイプ段階から量産時の事業性まで見通せる状態に持ち込むことです。

ベンチマーク結果を整理

ベンチマーク対象の製品にも課題があり、整理しないまま設計に入れば、既存品と同じ課題を抱えるおそれがありました。そこで同エンジニアは、ヒアリング結果を表に整理しました。表は次の3列で構成しています。

  • 課題:現場で挙がった事象
  • 要因:その事象を引き起こす要因
  • 対策:プロトタイプで採用する対策案

事象を一つずつ要因まで掘り下げ、それぞれに対策を紐づけました。この表を設計検討の出発点に据えたことで、既存品の課題を漏れなく改善した仕様を確定できました。設計途中で対応漏れを確認し直す場面がほぼなくなり、手戻り低減にもつながっています。

確認項目を事前に整理して訪問

当該企業は神奈川県、同エンジニアは九州在住と距離があり、訪問の頻度には制約がありました。そこで同エンジニアは、1回の訪問で確認すべき事項を事前に整理しました。議題と確認項目をリスト化し、現地で何を確認すべきかを明確にして臨んだのです。

訪問時は工場内で既存製品を見ながら、課題と解決策を当該企業の担当者と直接議論しました。図面や写真だけでは伝わりにくい寸法感覚や、部材の取り回しのしにくさなど、現場でなければ共有できない情報を中心に収集しました。結果として、訪問頻度を抑えながらも、プロトタイプの完成イメージが双方で大きく食い違うことはありませんでした。

量産コスト見積もりをプロトタイプ段階から織り込む

「いいものはできたが、高すぎて利益が出ない」という事態を避けるため、同エンジニアは量産コストの見積もりをプロトタイプ設計と並行して実施しました。想定販売価格とのギャップを設計初期から把握しておくことで、コスト超過のリスクが早期にわかります。

具体的には、次の3つの施策を段階的に進めました。

  • モータの見直しによる動力部のコスト削減
  • 加工メーカーの選定による加工費の最適化
  • 部品調達の見直し

いずれも設計と並行して進めたことで、量産コストの問題を早い段階で抑えられました。

5. 成果と変化

今回の成果は、プロトタイプという納品物だけにとどまりません。量産コストを抑えたことで新規事業としての収益性に見通しが立ち、構想段階で止まっていた開発も前へ動き出しました。

数値面の成果

プロトタイプの製作が完了し、事前に設定したコスト目標を達成しました。販売価格は競合他社製品に対して競争力のある水準に収まっています。

特に大きな成果は、量産コストの見積もりを当初比で約50%まで削減できた点です。この削減は、単一の対策によるものではありません。設計と購買の両面から複数の施策を積み重ねた結果です。これにより、新規事業としての収益性を確保できる見込みも立ちました。

現場・意識面の変化

担当者が設計・製図した図面をもとにプロトタイプの製作が完了しました。現在は量産化に向けての評価を進めています。実際に動くものが手元にあることで、これまでは構想段階で止まっていた新規開発が前に進みました。
「外部の設計人材を適切に組み込めば開発を進められる」と、当該企業自身が確認できた点も大きな成果です。

6. このような企業におすすめ

以下のような課題を抱える企業には、本支援の活用が有効です。

  • 社内に機械設計者がいない、または不足している
  • 加工はできるが、構想から図面化までの人材が足りない
  • 自社製品を新規事業として開発したい
  • プロトタイプの量産コストが読めず、事業判断に踏み切れない
  • 加工メーカーの見積もりを第三者の視点で検証したい

製造業の新規事業では、「アイデアはあるが、形にする人がいない」という人材不足が、最初のハードルになりがちです。そこで外部の機械系エンジニアを一貫支援として活用すれば、設計者の採用や育成を待たずに開発を前へ進められます。

プロトタイプを形にするだけでなく、量産後の採算までを見据えた開発を進めたい企業は、ぜひ一度ご相談ください。

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