製造業の人手不足を救う外部人材とは?活用メリットと失敗しない選定ポイント

役立ち情報

人手不足が深刻な製造業において、従来の自社リソースだけに頼る体制は限界を迎えつつあります。そうしたなかで選択肢として注目されているのが、「外部人材の活用」です。

とはいえ、いざ導入しようとすると、どの業務を任せるべきか、どんな手順で進めれば失敗しないのかなど、不安や疑問は尽きないものです。

そこで本記事では、製造業で外部人材が注目される背景から、活用のメリットと注意点、そして失敗を防ぐための具体的な5つのステップまでを解説します。外部人材を取り入れる際の参考にしてください。

目次

1. 外部人材とは

本記事における外部人材とは、自社に足りない高度な専門スキルを外から補填し、即戦力として現場の課題解決や業務範囲拡張をおこなう専門家のことです。

本章では、外部人材の分類や注目されている背景について解説していきます。

外部人材の分類

外部人材にはさまざまな雇用形態があります。以下は主な例です。

  • 個人事業主や副業者への業務委託
  • 派遣社員の受け入れ
  • 他社人材の出向受け入れ

今回は、この中でも特に業務委託に焦点を当てて解説します。 自社にない専門性の高いスキルを即戦力として活用したい場合、業務委託として外部のプロに依頼するのが効果的だからです。

製造業で外部人材が注目されている背景

外部人材の活用が注目されている背景には、大きく3つの理由があります。

・製造業の構造的な人手不足

生産年齢人口の減少により、新規人材の確保は年々難しくなっています。新しい担い手が入ってこない一方で、現場を支える技術者の退職は進んでいきます。

高度な専門知識が求められる製造業では特に、条件に合う人材を自社の採用活動だけで見つけ出すのは容易ではありません。こうした事情から、足りない力を外部から補う手段として、外部人材に注目が集まっています。

・個人事業主や副業人材の供給増

外部の仕事を請け負う個人事業主や副業人材は、年々確実に増えています。深刻な人手不足という需要側の事情だけでなく、供給側の環境も整ってきているのです。その背景にあるのは、働き方を取り巻く環境の変化です。

働き方改革を機に副業・兼業を認める企業が広がり、本業を持つ専門人材が空いた時間で外部の仕事を引き受けられるようになりました。組織に属さず独立を選ぶ人も増え、フリーランスや個人事業主として活動する層は厚みを増しています。

加えて、Web会議やクラウドの普及で働く場所の制約が薄れたことで、地方在住の人や、本業・家庭と両立しながら働きたい人も、外部の仕事を引き受けやすくなりました。

・国の制度面での後押し

国が推進する法整備やガイドラインの刷新といった、制度面での後押しも、外部人材の活用を加速させる要因です。実際に、2024年11月に施行された「フリーランス保護新法」により、発注書面の交付義務化など取引の適正化が図られました。

さらに国が「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を発表したことで、労働者が一つの企業にとらわれず、個人のスキルを市場に還元しやすい社会的なムードがますます強まっています。 

自社で人を採用し育てることは、これからも製造業の基盤です。そのうえで、足りない専門性を外部人材で補う考え方が、「特別な選択肢」から「現実的な選択肢の一つ」へと広がりつつあります。

2.製造業で外部人材を活用するメリット

ここでは、製造業で外部人材を活用するメリットを3つご紹介します。

自社にない新しい知見が入る

自社を外から俯瞰する客観的な視点をとりいれることで、社内の盲点に気づけることがあります。社内メンバーだけで回している現場では、非効率な手順や古い習慣があっても、それが当たり前になってしまい、問題の本質を見抜けなくなっているからです。

例えば、他社のさまざまな現場を見てきた外部人材が参画することで、導線の無駄や確認作業のデジタル化などの、見落としがちな課題を客観的に指摘できます。

このように俯瞰的な知見を定期的に取り込める組織では、過去の悪習慣に縛られることなく、業務改善を続けられます。

人件費を抑えられる

外部人材の活用は、人件費の抑制につながります。

正社員を雇う場合、毎月の給与に加えて、社会保険料などの固定的な負担が継続して発生します。一方、外部人材であれば、こうした固定費を抱える必要がありません。さらに、繁忙期や特定の長期案件など、必要な期間・業務量だけに絞って発注すれば、仕事量の少ない時期にまで人件費を払い続けずにすみます。

つまり外部人材に対しては、人件費を固定的に抱え込まず、必要な分のみにとどめられます。これが、外部人材を活用するコストメリットです。

専門スキルをすぐに確保できる

外部人材を活用すれば、自社で採用・育成に時間をかけることなく、必要なときに高度な専門スキルを確保できます。

特定の技術を持つ人材を探し育て上げるには、数か月から数年かかることも珍しくありません。一方、外部人材であれば、すでにそのスキルを備えた人に依頼するため、確保までの時間を大幅に短縮できます。

例えば、DX推進や新規事業の立ち上げなどのプロジェクトなどは、外部人材を活用しやすいでしょう。必要な専門性を外から確保できれば、人材の育成を待つあいだに事業の機会を逃す、といった事態を避けやすくなります。 

3.製造業で外部人材を活用する際の注意点

多くのメリットがある外部人材の活用ですが、事前の対策を怠ると、経営や現場に思わぬリスクを招く可能性があります。本章では、導入前に必ず押さえておくべき3つの注意点とそのリスクを回避するためのポイントを説明します。

機密情報が漏洩するリスクがある

外部人材を活用する際は、情報漏洩に十分な注意が必要です。社外の人が社内のシステムや機密情報にアクセスする機会が増えるため、アクセス権限の管理やルールが曖昧なままだと、情報流出を招きかねません。

こうしたリスクを抑えるには、事前の備えが必要になります。具体的には、秘密保持契約(NDA)の締結に加え、共有する図面データのアクセス権限を必要な範囲に限定する、専用のクラウドストレージを用意するなど、現場レベルでの情報管理ルールを定めておくことが大切です。

外部人材の活用が広がるほど、社外と情報をやり取りする場面は増えていきます。社内だけで業務を回していたとき以上に、情報管理に目を配ることが欠かせません。

社内にノウハウが蓄積されにくい

外部人材に業務を任せると、技術やノウハウが社内に残りにくい側面があるのは否めません。該当業務を社内人材だけで行えなければ、外部人材との契約が終了した時点で同じ業務を続けられなくなり、また外部に頼らざるを得ません。

外部の知見を社内に根づかせるには、契約内容に「手順書やマニュアルの作成」も含めておく、自社の社員をプロジェクトに参加させ一緒に手を動かす、といった対策が有効です。

重要なのは、外部人材に「業務をこなしてもらうだけ」で終わらせないことです。得た知見を自社の技術として蓄積していってこそ、その活用が一過性に終わらず、長期的な強みになります。

期待値のミスマッチが起きやすい

外部人材を導入する際、自社と相手の間でゴールの共有があいまいだと、期待値のミスマッチによるトラブルが起きやすくなります。事前のすり合わせが不十分なまま、おおまかな要望だけで発注してしまうと、求める成果物のクオリティや業務範囲について、お互いの認識に決定的な齟齬が生じるからです。

認識のズレを防ぐには、契約の段階で、スケジュールや業務の範囲、求める役割、そして「何をもって完了とするか」という検収の基準まで、できるだけ具体的に決めて共有しておくことが大切です。

外部人材は、社内の人間ほど自社の「暗黙の前提」を共有しているわけではありません。社内なら言わずに伝わることも、外部には言葉にして初めて伝わります。だからこそ、任せる前にゴールと期待値をきちんと確認し合うことが、外部人材の活用ではとくに軽視できません。

4.製造業における外部人材の活用事例

ここでは、外部人材が実際にどのように活躍しているのかご紹介していきます。

①設備架台設計における強度計算支援

架台の設計・制作を行う現場において、顧客から強度計算書を求められるケースが増加。しかし、社内に計算を行える専門人材がおらず、ベテランの経験と勘に頼った過剰設計による重量増加や、工数のひっ迫が大きな課題となっていました。

そこで、材料力学に基づいた適正な強度検討を実施し、専門知識がなくても容易に扱えるExcel自動計算ツールと解説動画を構築しました。結果として、必要十分な強度を見極めた架台の軽量化に成功し、強度検討にかかる時間を最大90%削減するという大幅な効率化と属人化の解消を達成しました。

リンク:https://xeballer.co.jp/cases/kyodo-keisan/ 

②測定機器の振動解析支援

新製品の測定機器開発において、JIS規格の振動試験をクリアする必要があったものの、社内に専門技術者がおらず、試験後の手戻りリスクや高額な解析ソフトの導入コストが大きな課題となっていました。そこで外部の熟練機械系エンジニアを招き、無償のCAEソフトを活用した固有値・周波数応答解析の環境を構築しました。

支援では解析にとどまらず、解析結果を反映した筐体設計、部品手配、試作機の組立、さらには外部機関での振動試験の段取りまでを一貫して代行しました。これにより、試作前に振動リスクを見える化して手戻りを最小限に抑え、コストと開発期間を大幅に削減する効率的な開発体制を確立しています。

リンク:https://xeballer.co.jp/cases/prototype-vibration-analysis/

③先端加工技術サービス会社のWeb集客支援

新規集客を展示会に依存していたものの十分な費用対効果が得られず、Webサイトからの問い合わせもほぼゼロという課題を抱えていた先端加工技術サービス会社の支援事例です。社内にWebマーケティングの知見を持つ人材がおらず、当初現場からは「いまさらSEOなんてやる意味あるんですか?」と疑問視される状態からのスタートでした。

支援では、製造業の実務経験を持つ専門マーケターが主導し、戦略的なキーワード選定と問い合わせへと導線設計を一から再構築しました。ターゲット顧客の疑問に愚直に答えるコンテンツの制作・運用を重ねた結果、狙ったキーワードで検索5位以内を連発し、9ヶ月後には平日毎日問い合わせや見積もり依頼が舞い込む「自動集客の仕組み」を確立しています。

リンク:https://xeballer.co.jp/cases/case-seo-manufacturing/

5.製造業で外部人材を有効活用するための5ステップ

外部人材の活用でミスマッチを防ぎ、成果を得るためには、事前の正しい段取りが不可欠です。本章では、外部人材の力を十分に活かし、その知見を自社にも残していくための進め方を、5つのステップに分けて解説します。 

ステップ①:解決したい課題を洗い出す

外部人材を活用する最初のステップは、自社が直面している課題を「何の業務に・どれくらい・どんなスキルが必要か」まで具体的に洗い出すことです。

課題の定義が曖昧なまま導入を急ぐと、現場が求める人物像との間にズレが生じ、期待した成果が得られないミスマッチの原因になるからです。

製造業では、設計の繁忙期対策や特定スキルの補填、DX推進、技術伝承など様々な課題があります。まずは自社で解決すべき核心と、外部に任せられる専門業務を切り分けて整理することが大切です。

この最初の整理を丁寧にやっておくほど、必要な人材像がはっきりし、無駄なコストをかけずに、狙った課題へ的確に取り組めるようになります。

ステップ②:求める人材像を明確にする

課題を絞り込んだら、次は「どんな人に頼みたいか」を具体的にします。

「設計ができる人」でも、自社の製品や使用中のCAD、現場をどれだけ理解しているかで、即戦力になれるかどうかが大きく変わります。曖昧な指定のままでは、肝心なところがかみ合わない相手を選びかねません。

人材像は、次の3つの軸で書き出すと整理しやすくなります。

  • スキル:使えるCAD、解析・加工の知識
  • 経験:扱ってきた製品・業界、現場経験
  • 働き方:稼働時間、常駐かリモートか

そのうえで、求める人材像を「必須条件」と「あれば望ましい歓迎条件」に分けます。ここまで具体的にしておけば、後の人選で迷いにくくなり、依頼後の手戻りも減るでしょう。

ステップ③:外部人材を探す

人材像が固まったら、いよいよ外部人材を探します。探す手段には、人材エージェント、マッチングサービス、クラウドソーシングなど、いくつかの選択肢があります。

窓口によって登録している人材の層は異なります。専門性の高い製造業の場合、業界知識や現場感覚のある人材とつながりやすい窓口を選べるかどうかが、その後の成否を左右します。

たとえば、図面や製造の技術が分かる「製造業特化型」のサービスであれば、専門性の高い技術領域でも、条件に近い人材と出会いやすくなります。どこで探すかを自社の課題に合わせて選んでおくと、探す時間やコストを抑えやすく、求める人材にたどり着きやすくなります。

ステップ④:適切な契約形態を選ぶ

外部人材を招き入れる際は、業務内容に見合った契約形態を選択することが重要です。

製造業の設計開発支援などでは、仕様変更や試行錯誤がつきものです。そのため、成果物の完成を約束する請負よりも、特定の業務に並走する準委任契約の方が実態に合いやすいなどがあります。

業務の性質に合った形態を選んでおけば、後々の認識のズレやトラブルを防ぎ、お互いが安心して仕事を進められます。 

ステップ⑤:社内スタッフとの役割分担を明確にする

最後のステップとして、外部人材に実務を丸投げせず、社内スタッフとの役割分担と責任の範囲を明確にしておきます。

社内に連携役の担当者を立てず、外部人材に任せきりにすると、進め方や判断の中身が社内から見えなくなり、その業務が外部人材だけに依存してしまいます。結果として、技術やノウハウが自社に残りません。

役割分担をはっきりさせ、社内と外部が連携しながら進めれば、外部人材の力を借りつつ、その知見を自社にも残していけます。

6.まとめ: 外部人材の活用は、製造業の現実的な選択肢になる

製造業における外部人材の活用は、単なる人手不足の穴埋めにとどまりません。社内にない新しい知見の導入やコスト削減を実現し、組織を成長させるための現実的な選択肢です。

ただし、導入を成功させるには事前の正しい段取りが欠かせません。「どんな業務を任せるべきか」「どんなスキルが必要か」という初期段階でつまずき、ミスマッチを起こすことも少なくありません。

弊社の「コンサルタント・エンジニア紹介」サービスでは、単なる人材紹介にとどまらず、企業が抱える課題を一気通貫で伴走し、解決する事業開発支援を実施しています。要件が固まりきっていない段階からでも、現場経験を持つ機械系エンジニアによるサポートが可能です。

「まずは論点整理だけしたい」「外部に任せる範囲をプロと一緒に決めたい」という段階からぜひお気軽にご相談ください。貴社の状況に合わせた無理のない第一歩をご提案します。

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